2015年11月4日

昭和豆本が壊れて修理しました

本の修理
 私個人が所蔵している本を、自分で修理しました。手のひらサイズのハードカバー豆本『洋酒マメ天国』(サントリー発行)です。
本の修理
 修理前の本の状況です。綴じが外れて、ページが取れてしまいました。糊は経年変化で劣化しています。この本が壊れた原因は、糊で直接本の背につけてある構造だから・なおかつ紙が逆目で使用されているから・なおかつその紙が厚いから、です。豆本に使用されている紙が本の大きさに対して厚手なので、通常サイズの本で考えれば倍くらいの厚みで逆目で背に糊付けされていると想像すると、閉じ開きのたびに紙に負担がかかって、「そりゃー壊れるわー」ということになります。
本の修理
 本を開くたびに、ぱらぱらとページが取れそうなので、そっとしていたのですが、このままでは読めないので、修理することにしました。本がバラバラになると、取れたページの散逸の恐れもあります。
本の修理
 ついに後ろのほうまで、外れてきました。「綴じられていて読める」という本の機能が失われているので、そっとしておくんじゃなくて修理の必要があります。本のデザイン、内容、活版二色刷印刷のクオリティに対して、製本のクオリティが低かったと言わざるを得ない結果が出ています。といっても、洋酒マメ天国全冊が、こんなふうにページが外れて崩壊するということはないようで、他の方の所蔵本を見せてもらったら、本は穴背に仕上がっていて構造に問題がなく、ページが取れそうな気配は見られませんでした。私の本が「はずれ」だったみたいです。
本の修理
 私のは、見返しののども、1センチくらい紙がたりていない個体です。
本の修理
 扉のノリも、奥まで入り過ぎて開きが悪い物でした。これはもしかして正規のエディションではなく試作程度の物が流通してしまったのかも、など当時のことを想像するしかありません。でもこの本は、当時のチラシを見ると、必ずしも酒屋さんの「おまけ」ではなく、バーなどで販売されたり、定期購読も受け付ける有料の本として案内がされています。当時の女優さんが宣伝文を寄せているチラシを見ました。
本の修理
 私のはなにしろ、表紙も、機械か何かでうっかり挟んでしまったような跡がついているので。他の個体を見るまでこれがデザインだと思っていました。なおジャケットのグラシンは古本屋さんがかけたものなので、本の保存に適したニュートラルグラシンに架け替えました。
本の修理
綴じを直すので、いったん全部のページを外しました。表紙側に見返しだけ残して中身を取り出しました。
本の修理
 ページをバラバラにして、古い糊を外しました。
本の修理
 紙の本体を傷めないよう、カッターの刃と逆側でカリッカリッと気長に物理的に除去しました。古い糊が残っていると新しい糊が入らないので、根気よく取りました。
本の修理
 ボール紙を両側に当てがって、プレスに背を上向きに挟み、直角をちゃんと揃えてから、ピラニアンノコで目引きしました。
本の修理
 ぎざぎざに引いたミゾの中へボンドを塗って、これが新しい糊綴じになります。
本の修理
 もしもこれまでと同じ形で、ハードカバーの内側にこれを直接糊づけして戻したら、またいつか同じように壊れるでしょう。私がしているのは修復ではなく、修理なので、本の構造を変えて、本を利用できるようにして直しました。クータをつけて、穴背の構造に変えて、中身を表紙の中へ戻しました。見返しの長さがのどで1センチたりないのは、似た色の和紙でつぎたしました。「開きが悪ければ修理した意味がない」。ちゃんと危なげなく開いて読める本になりました。この本の下にあるのは、同じクラスで修理されていて、同じ日に修理が終わった本です。
 本の修理と保存のレッスンに、5年間通いました。二週間に一度、二時間のレッスンで、自分の中での達成率は7~8割かなというかんじで、あとの2~3割を埋めるには5~10年くらいかかりそうに感じたので、本の修理はここまでにすることにしました。10月から、デコール(金箔押し装飾など)のレッスンに通い始めました。デコールは華やかそうに感じたのですが、いまのところ、やっていることは、本の修理よりもむしろ地味なほど地味に思われます。
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