2017年2月28日

革装の洋古書と暮らす3

に提案をするまでに二週間くらい。オイルや薬品を取り寄せるのに10日くらい。自分の本で試してみて、観察。そしてついにLe Petit Parisienでの本の保全です。
 ここの本の革表紙が傷んでいる原因は、一番に乾燥だろう。オーナーさんの意向としては、本はできるだけ現状の形で読みたい方針。ということは、傷んだ革を元に戻す方法はないので、予防しようと考えました。傷みがひどい数冊の本には今は手をつけず、まずは今大丈夫そうに見える大多数の全体を予防することを目的にして作業しました。

 革が表紙に使われた本をピックアップして集めました。それを、HPCを塗るもの、塗らないものに仕分けしました。粉が出るほど傷んだ革には、HPC(ヒドロキシ・プロピル・セルロース)のアルコール溶液を塗りました。セルロースが革の間に浸透して、革を強くしてくれます。どの本に塗ったか、後でわかるように、メモを取ってあります。ここの本は、すばらしいことに、既にオーナーさんの手で蔵書リストが作られているので、そのリストに、保全の記録を記入しておいてもらいます。


 その後、全部の本の革部分に、本の革用に定評のある良質の保革油を塗りました。イギリス製です。油の浸透に一日待ちます。

 翌日、再び行って、空ぶきをして余分なオイルを取りました。そして、アクリルポリマーのコーティング。空ぶき。これで、この状態で時間を止めてくれると期待してます。


 私の特殊なスキルが、思いがけず実践で役立って、社会貢献できました。中野の個展でお客様から「こんな所があるから、行ってみて」とショップカードをいただいて、足を運んでみて、本棚に惹かれてスケッチを始めた、この書斎。古本屋さんの本棚と違って、一個人の本棚というところが、佇まいに惹かれた理由かと思います。スケッチに通ううちに、触れた本の背表紙が壊れました。驚いてよく見れば、あっちもこっちも、傷んでいた。その時にぽろりと背表紙が壊れた本も、これでついにまた読める形になりました。何度も通ってわかったけれど、曳舟で人が集まる場所になっていて、おもしろい空間でした。その空間の背景にある本棚は、雰囲気や話題の要です。本にはこんな利用方法があるんだなと感じました。今後、ものによって、和紙修理が必要な本がありそうです。温度湿度は前から見ていただいています。夏に向けての紫外線対策をお願いして、ひとまず私の手作業は終了です。
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