2012年11月22日

自分で作る「豆本ツリー2012」フライヤー

来月5日から始まる豆本ツリーのために、こんなフライヤーを作ってみました。
豆本ツリーフライヤー
シャイナーというキラ入りの紙にカラーコピーしてみたら、雰囲気が出ました。
ここにpdfデータを置いておくので、作って遊んでみて下さい。

豆本ツリー 小さいフライヤー(A4縦)
http://kototsubo.com/2012/mametree2012.pdf

豆本ツリー 大きいフライヤー(A4横)
http://kototsubo.com/2012/mametree2012b.pdf

ブログなどでの上のアドレス紹介や、組み立てない状態での配布もOKです。

ちょっとした作り方のコツ…。
紙の選び方でずいぶんイメージが変わりそうです。紙の選択で、まず作る人の個性が出ますね。
世界堂やハンズでバラ売りしているような100kg以上のカットペーパーだと、しっかりした「カード」らしいカードができあがります。
コピー用紙くらいの80kg前後の紙だと、折る作業はたやすく、薄い仕上がりになります。
右横の青い直線を切る時には、うっかり切りすぎても大丈夫なように、下から上へ切ったほうが安全です。下から上へ切れば、万一多少切りすぎても、まだ紙がある部分なので差込口が切れてなくなってしまうことはありません。
紙の目は、できれば折り線に合わせられれば良いです。A4縦のフライヤーなら紙の目も縦に、A4横のフライヤーなら紙の目も横だと良いです。でも逆目でもできなくはない(折りにくいだけ)です。折った後、もし折り目が自然にぱふーと開いてきてしまうようなら、本棚の本の間に挟んでおいたり、積ん読の下に2日くらい入れておくとよいでしょう。折り目にくせがついて、ぴしっと落ち着きます。

2012年11月16日

ハードカバーの豆本を作る特別講座12/1・池袋コミュニティカレッジ

ハードカバー豆本の作り方
12月1日午後(13:30~16:00)、池袋コミュニティカレッジで、布表紙のハードカバー豆本を作る特別講座を行います。直接指導で一回で作品が完成します。池袋コミュニティカレッジ 特別講座 手のひらサイズの豆本を作ろう かわいい布でつくるミニチュアブック【申し込みはこちらから】
ハードカバー豆本の作り方
今、教材の準備をしています。使う布はこちら。あらかじめ私が裏打ちしてゆきます。見本で作ったのと同じ、白い柄に赤ずきんちゃんは、すみません一人分のみ。でもそれよりもかわいいと思う、赤いチェックに赤ずきんストーリーは七人分あります。赤ずきんキャラクターの絵柄は、そのうち五枚です。当日、入室して受付を済まされた順に、表紙布をお選びいただきます。少し大きめに準備した布もあるので、表紙に柄をどう出すかを、ご自分で決められる布もあります。(画面中央に置いてあるグレーの枠が、トリミング枠です。)
ハードカバー豆本の作り方
一回でハードカバー豆本を作るレッスンは、これまで何度もいろいろな形でやっています。ここ数年たくさん作っては眺め、閉じ開きし、私の今の好みは、シンプルで効果的な方法(作るのは簡単なのに、本らしい形になる)に来ています。今回の豆本は、平らな状態の本文紙をご自分の手で二つ折りにするところから、本作りを体験していただきます。本文紙はクリームがかった書籍用上質紙です。中が無地のノートなので、見返しなし・花布なしで、きれいなバランスでシンプルに作ります。帳簿製本式の「コの字クータ」を入れます(三つ畳みクータよりも簡単ですが取れやすいのでしっかりこする)。布のくるみ表紙なので、表紙ばり作業は簡単なのに、布素材なのでミゾが柔らかく、とてもきれいに閉じ開きができます。初心者でも楽しく作れて、経験者でも発見のあるレッスンを心がけています。
ハードカバー豆本の作り方
これからのシーズン、プレゼントにもぴったり。針と糸で二折り綴じします。180度開くので書きやすいノートになります。綴じ糸の色にもご自分の個性を出して、お選びいただきます。天地寸法約7cm。今回の布の柄は、豆本慣れしてかわいさには麻痺している私でさえ、かなりかわいいと思います。

2012年11月9日

壊れた本の修理

さて、本の修理です。本の「修理」と言うと、たいていの取材で「修復」と置き換えられてしまって校正を入れましたが、修理と修復の違い。私がやっているのは、本の利用のための修理で、文化財の修復ではありません。本が再び読めるようになるということが一番の目的です。なので、不可逆的な方法(ボンドなど、再度はがせない接着剤で、新しい部材を入れる)で修理します。でんぷんのりで、古い素材をつなぎあわせた場合、何度か閉じ開きしたらまた壊れてしまうでしょう。資料館での展示や、研究のためにいざとなったらまた新しい部材を取り去って元に戻せるということが必要とされるならそれでよいけれど、読む本の利用のためにはその修理では手間をかける意味がない。一般に、でんぷんのりにボンドを混ぜて貼った部材を元に戻せるようにするには、ボンドを混ぜてよいのは12%くらいまでのようです。背まわりの、本の蝶番部分は、ボンド1割ではすぐ壊れてしまいます。
私が行って習っている修理と保存のクラスには、専門図書館の方が多くいらっしゃいます。頻繁に使用されている本の、壊れてる本のパターンが、だいたいわかってきました。
本の修理とためによかれと思って貼られた粘着テープが、その後の本の崩壊に一役かいます。
私が今とりかかっている絵本も、同じパターンでした。
だいたい、見返しが切れる→そこに粘着テープを貼る→その部分だけが強くなってしまい、今度は一折目と二折目の境が切れる→そこにも粘着テープを貼る→また力のかかり方のバランスが崩れて、あちこちのページが取れてくる→取れたページを粘着テープでせっせとつける→背ボールが、粘着テープの厚みで膨らんだ中身を受け止められなくなってしまい、背ボールが外れる→背やミゾの崩壊
粘着テープで本を修理するのはやめましょう。和紙をでんぷんのりで貼りましょう。でんぷんのりは、乾くのに時間がかかる接着剤なので、貼ってすぐは「こんなに弱そうでいいのかな?」と不安になりますが、クッキングシートなどを貼りつき防止用に挟んで、一晩他の本の下にでも置いて、「押し乾かし」をしてみて下さい。驚くほどしっかりした姿で、軽いプレスの下から現れるでしょう。
本の修理の方法
「ちびくろさんぼ」はめでたく終わったので、今は「ひとまねこざる」を修理しています。ページの修理を終わって、かがっています。
本の修理の方法
この絵本も、見返しも、本文紙共紙なんですね。そのために、見返し&表紙も含めた「一枚」として、表紙がついたままかがっています。
本の修理の方法
折丁ごとに和紙で巻いてあります。茶色いのは粘着テープの糊による変色の跡。
本の修理の方法
背ボールも、この本の場合はまだくっついているので、ついたままかがっています。背と表紙との印刷の位置関係も保存するためです。
本の修理の方法
かがり終えましたー。リンクステッチです。背が和紙なので、糸を引きすぎると形が崩れてしまうので、難しかった。
本の修理の方法
本の表紙には、この後、背の部材を貼り込むための隙間があいた状態です。
本の修理の方法
こんなかんじにあいています。「帳簿製本」で、背のくるみが「初めてやるのじゃないみたい」と他の参加者たちからびっくりされて、「パッセカルトンと同じだから」と答えたけれど、実は本の修理と保存でも、いっしょでした。
本の修理の方法
まずは寒冷紗を入れます。
本の修理の方法
古本は、紙がよれよれで、四角くないから難しい。

フラッグブックの作り方

世田谷文学館での豆本ワークショップ、無事たくさんの豆本ができました! お客様がひっきりなしだったので、アートフリマは合間にちょこっとだけ通路を回る程度。でもよいお買い物もできて私も楽しみました!
フラッグブックの作り方
特に人気が高かったのは、上のフラッグブック。今年は全体にお子様よりも、大人の女性の来場が多かったようです。そんなことも反映して、見た目複雑なフラッグブックを一緒に作りました。まず、ばーっと色鉛筆で裏面に「海のイメージ」「夕焼け空のイメージ」で色を塗り始めたので、そばで見ていた人は何が始まるのかと思ったみたい。
一番簡単な豆本の作り方
昆虫図鑑のほうは、簡単な型紙を使って、さらさらっとシンプルに作る方法で。紙の選び方にひそかに工夫がありました。
フラッグブックの作り方
フラッグブックの表紙はいろいろなボード紙から選び、タイトルもインスピレーションで貼りました。中身別パターンの作例もお見せしました。
スリップケースの作り方
さて、その後、パッセカルトン(習う方)では、今、半革装の本三冊が完成していて、スリップケースに入っています。スリップケースの内側には、まず紙を貼り(そうしないとケースがその後、外ぞりしてしまうので、内側へ引っ張る用)、それからネルを貼ります(ネルは本をソフトに保護するため)。そのためのネルを、色染めしました。茶色いのは紅茶、他のはダイロンです。素材の準備がけっこう手間。

2012年11月2日

セタブンでアートフリマ・豆本ワークショップ

POPも印刷して、明日の準備OKです。明日11月3日は、一日、世田谷文学館にいます。ワークショップは二種類、ぜひぜひ。販売もぜひ覗いてみてください。お待ちしています。

世田谷アートフリマ in 文学館
日時:2012年11月3日(土) 11時~17時
会場:世田谷文学館(京王線「芦花公園駅」最寄)
主催:世田谷アートフリマプロジェクト/(公財)せたがや文化財団 生活工房/世田谷区

その本はどんな考えで作られているか

 製本工房によって、製本の方法が違う。同じ工房でも、製本家一人ずつで違ったりもする。幾つもの方法を見て混乱している人もいるかもしれない。でも、「その本はどんな考えで作られているか」、これさえわかれば、混乱はしない。
 たとえば、先日の帳簿製本。帳簿は一年間毎日書き込み、その後法定で七年間保管したのち破棄される。なので、最初の一年間は、日々の会社の業務の中で毎日閉じ開きされ、上に他の物が載ったりするかもしれないし、投げ出されたり取り落としたりするかもしれないし、過酷な扱いが予想される。それに耐えたら、その後は、七年間ほとんど閉じたままの状態で持てばよく、最終的には通常この世に残らない運命にある。基本的に全てオーダーメイドで、罫線の本数や背の文字入れなどは、会社や病院の部署ごとの要望に応じて作られる。
 帳簿は、たくさんの数を一気に作るので、製本は何人もの職人さんが分業で、かがる人は一日じゅう糸かがりし、のりをぬる人、貼る人も別だった。使用する紙は「帳簿用紙」のみ、綴じ糸も太いか細いか二種類。こうした、使用素材が一定で、作業を分担するという条件の元で成立するテクニックも多数あった。こうした「手の記憶」は、現場に行って実際に一緒に習って引き出される。帳簿製本の体験は、日本の洋本製本の歴史の、ミッシングリンクになりそうな一端を知ることができ、大変貴重な体験だった。
 しかしたくさんの製本の方法を、いったいどうして選んでゆけばよいの、と思われるかもしれない。
 私の感覚としては、1~数百冊作るのと、300~数千冊作るのでは、本に対する考えの土台が違う。おおまかに、1~数百冊をルリユールと考え、300~数千冊は商業的な手製本と考えればわかりやすい。
 西洋伝統手工芸としての製本の技「ルリユール」は、生産量としては1冊からふつうは数冊、プロの製本家がどうがんばったところで数十冊から数百冊程度(スケジュールを一年間拘束とかしても)。1000冊作るのは、ほとんど無理。作られた本は、保管状況や、作った手の巧拙があっても100~数百年持つだろう。ルリユールの本作りの思想をざっくり私の今の理解で言ってしまえば、作業工程の手数をかけ、使用素材を厳選して、長持ちする本を作る。それだけ手をかけて長持ちするに値する内容の本をルリユールする。
 一方、帳簿製本や、美篶堂などの手製本は、明治期からの商業的な製本の流れにある。「手製本」と言っても、昔は機械がなくて手で作っていただけのことで、300~数千冊を早く間違いなく作ることが求められた。戦後に大規模な機械ができると、手作業は機械にとってかわられ、数万冊の本が工場で生まれるようになった。ホットメルトを使った糊とじの商業製本は、戦後からの本なので歴史は浅い。1970年代のホットメルトはすぐ割れたりページが外れたりしたようだが、今は糊の改良などが進んで、50年くらい持つようだ。商業製本の思想は、帳簿や読む本など、目的によってそれぞれだろうが、数十年もつ物を数百冊作る、ということになるだろうか。
 私は、こだわりぬいて本作りをしているかのように思われているようだけれど、別に何も珍しいことをしているわけじゃない。手法や素材を考えて選ぶのはアーティストとして当然のことでしょ? ゴッホだって使う筆の太さくらい選んだと思うし。イラスト一つ描くのだって、ペンで描くか鉛筆を使うかで、その絵の方向性や表現できること、絵の将来の扱いまでそこで決まってくるでしょ?
 手作りさえすれば丁寧ってもんじゃない。私はむしろできるだけ手を抜いて合理的な方法で作りたいと考えている。そうしないと本が高くなって仕方がないから。でも形として美しくないと嫌なので、必要なことはする。せっかく作っているのに、これじゃあちょっとね、どうしてここを抜くかなあ、という本にはしたくない。いかに丁寧によりも、どう考えて作ったかが大切だと思う。しかも「丁寧に」っていうのが本人の気持ちだけのことで、選んだ素材や手法などが全くその考えに一致していなかったら意味がない。