2016年11月25日

Ame ni mo Makezu Special Edition 『雨ニモ負ケズ』特装版

朝、和紙のけばだちを抑えるためのCMCを塗りながら、きれいだなと思って写真を撮りました。光線の向きによってグレイが強く見えたり、黄色が見えてきたりするのは、和紙をレイヤリングした効果。紙の中に、竹の繊維の雨も降っています。だんだん深くなっていく三段の寸法の比率はフィボナッチ級数。
豆本雨ニモマケズ
豆本雨ニモマケズ
豆本雨ニモマケズ
豆本雨ニモマケズ
豆本雨ニモマケズ
豆本雨ニモマケズ
豆本雨ニモマケズ
豆本雨ニモマケズ

2016年11月24日

Making of Ame ni mo Makezu Special Edition 『雨ニモ負ケズ』特装版

作りながら、まにあうんだよね? いいものになるよね? これで? と心配になる瞬間がありました。これまで学んできた技術の引き出しを探りつつ、ひらめきと工夫とを加えて、その不安をなくす方法を探りました。それは、伝統を踏まえたうえで、創意工夫によって新しいものを作るということをしたことになりました。誰も見たことがなかった、でも見た瞬間に、これが見たかったんだよ! と思われるような本を作りたい。それが、既に何億冊も本が存在しているこの世界で、私が新しく一冊の本を作る意味になってます。ひらめきと手仕事を重ねていくうちに、おのずと、自分にしか絶対に作れないという本になっていきます。でも私だけの力じゃない。今回の本『雨ニモ負ケズ』特装版は、活版と和紙に関わる、日本の職人さんたちの良質な仕事に支えられています。私は和紙と活版が好き! それと箔が好き! 革も好きだけれど賢治さんには似合わないから今回は使わなかった。
豆本雨ニモマケズ
豆本雨ニモマケズ
特装版で活版印刷した本文紙は、厚手の手すき和紙です。麻を使って本かがり綴じをして、本の背には、開きを助けるようにコの字クータを入れました。表紙はやすりかけをしてやさしい丸みを持たせました。本になった時、これらは見えない部分になりますが、実はこれだけの下準備をしてあります。
豆本雨ニモマケズ
本ができると、本の出来上がり寸法を計測して、函の制作に取り掛かりました。函のパーツも全て定規とカッターで手切りしました。函を組み立て、マグネットを埋め込みました。縁はやすりかけをして、なめらかにしました。それから和紙に水をつけて分ける「くいさき」でテープを作って、函の合わせ目を補強するために貼っています。そのあとさらに軽くやすりかけで仕上げました。これも、函になった時には見えない部分です。紙を貼り合わせる時、「水の力」を感じました。水で接着剤を溶くことで、均一に厚みも出ず接着します。和紙そのものがとにかくすばらしい素材で、薄くて丈夫なのでシビアに小ささを追及できます。
豆本雨ニモマケズ
函の外側の色染め。頭ではこうすると思っていても、出来上がりがかなり成り行きに左右される、この工程が終わってほっとしました。こういう作業をやるのは朝一に限ります。
豆本雨ニモマケズ
ふたの裏や、函の内側の底になる部分には、かきおろしの絵をつけました。飛び立つ水鳥と、ベルフラワーのメメントモリです。和紙は、竹やすすき、こうぞ、みょうがなどの、日本の自然の風物の優しいほのかな色合いです。下地も透けていてグレイがかった緑みが感じられます。
豆本雨ニモマケズ
一番下の段には、活字が入ります。今回、「活字で印刷したことをアピールしたい」との活版印刷の方の希望で、それなら、と特装版に組版の一部をつけることを考えました。冒頭部分「雨ニモ負ケズ風ニモ負ケズ」と、ラストの部分「サウイフモノニワタシハナリタイ」を、使用済みの活字で組んでもらいました。
豆本雨ニモマケズ
染めた紙の上から、銀の雨をイメージした箔押しした紙を貼って仕上げました。この細い線描とレイヤリングが私としては最大の技術革新的な創意工夫です。二冊の本と、組版が、一段ずつに入る、三段重です。函全体がきれいなシルエットになるように、だんだん深くなっていく三段の寸法の比率はフィボナッチ級数です。完成品は個展でごらんください。
豆本雨ニモマケズ
豆本雨ニモマケズ
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2016年11月19日

Making of Ame ni mo Makezu Case Binding 『雨ニモ負ケズ』上製本2冊組ブックシュー入

活版印刷をしてくれた三木さんが『雨ニモ負ケズ』豆本を人に見せると、「絵は誰が描いたの」とかなりの頻度で聞かれるんだよ、と教えてくれました。「それはつまり、絵が相当いいんだよ」と。絵はスケッチから起こした樹脂凸版で、字は金属活字で、これを一回で刷ってしまうなんて技をやってくれるのは三木さんしか知らない。印刷動画も公開中です。
豆本雨ニモマケズ
天をパステル色染めにして、この上製本を作っていたのは9月上旬のことでした。しおりひも、花布をつけて、前小口はカッターで化粧裁ちしてます。
豆本雨ニモマケズ
豆本雨ニモマケズ
竹と楮を混ぜて手漉きされた京都の和紙に、雨のイメージで「水玉」と「縞」を手染めしました。これで本がぴったり入る寸法のブックシューを作りました。
豆本雨ニモマケズ
本は、黒っぽい活字組版の写真の本と、白表紙に活版印刷された本と二冊組です。
豆本雨ニモマケズ
豆本雨ニモマケズ
豆本雨ニモマケズ
豆本雨ニモマケズ
本とブックシューは控えめな水玉のイメージで銀色箔をつけました。たくさん作ったんですけど、このあと9月の「そっと豆本、ふわっと活版5」で売れて、それから東京堂書店と、三省堂の池袋店いちのいちに納品したので、手元に在庫が残っていません。12月の個展には間に合うようには作れないだろうと今の時点で思うので、これはおそらく個展では予約販売にすると思います。今は、『雨ニモ負ケズ』特装版を作っています。
豆本雨ニモマケズ
豆本雨ニモマケズ

2016年11月14日

赤井都個展「手のひらの中のアリス~小さな宝物・豆本アートの世界~」ご案内

会 期 2016年12月9日(金)~12月19日(月) 12:00~19:00(最終日17:00まで) 12月14日 水曜休廊 入場無料
会 場 GALLERY リトル・ハイ 中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ4F南階段となり JR・東京メトロ「中野」駅北口よりサンモール商店街を通り徒歩3分
豆本個展 豆本個展
手のひらに収まる小さなアート~美しくて楽しい「豆本」の世界~
今回の個展では、今年のコンクール受賞作「月夜のまひる」をはじめ、品切れが続いていた人気作「不思議の国のアリス」など約30点以上の豆本作品を展示・販売します。会期中の12/10(土)、11(日)、17(土)、18(日)には在廊し豆本セミオーダー実演販売を行い、また赤井作品を気軽に楽しめる個展限定の「豆本がちゃぽん」も設置する予定です。
ぜひ皆様に豆本アートの楽しさにふれていただき、自分だけの宝物アートを見つけていただきたいと思っています。
今は、個展会場にちゃんと物を並べられるように、一生懸命、切ったり綴じたり貼ったり寝かせたりしています。

2016年11月10日

日本デザイナー学院で『そのまま豆本』

豆本
渋谷にある専門学校日本デザイナー学院の授業にゲストとして呼ばれて、『そのまま豆本』を合同授業で作りました。ミニチュアブックソサエティ受賞作や、他のアートブックも見せて、クリエイターとしてのお話もいろいろ。そこでも出た話ですけど、豆本サイズのような「規格外」の物に気づくっていうのがまず自由な発想ってこと。規格外を作ろうとすると、マニュアルどおりのオーダーではできないから、自分の手を動かしたり、誰かできる人の力を借りてコラボするなど人脈と知恵を絞ることになりますね。素材選びも大事。物を見た時に、手に取りたいと思う、中を開けて見たいと思う、というのは重要だよね。フリーペーパーを作るなど社会に直結していくカリキュラムはうらやましい実践力が身につきそうーと思いました。
アートとして、人に影響を与えることができて、それが国境や世代を超えても伝わる物。それってつまり時代を超えて生きのびてきた良い古本や、自分の好きな作家さんの物と並んでも負けないということなので、ガラス扉の本棚に自分の豆本と見比べたい豆本、いろいろ並べています。手前は作業空間です。
豆本展示

2016年11月5日

『雨ニモ負ケズ』活字写真の本の製本

豆本展示
『雨ニモ負ケズ』が書かれたのは1931年11月3日でした。ちょうど今くらいの季節。去年の今頃、岩手に行った時は、『銀河鉄道の夜』を作るつもりだったので、SLなどを時間をかけてペンでスケッチしていました。岩手山も描きました。夕食に入った所で、賢治さんの自筆の『雨ニモ負ケズ』がカウンターの後ろに掛けてあり、それが正に文化の日だったので、今日書かれたんですねーと驚き、そこの大将が、今年は米取れるんかなあとか心配しながら書いたのかなあとお国訛りで答えてくれました。それが印象的で、『雨ニモ負ケズ』なら文章が短いから全文、金属活字で組めるなーと考えて、今回のこの本。
豆本
「小さい本を見ている気がしない」と言われる、白地に黒で印刷した本と、印刷の版である黒っぽい本、二冊をブックシューに入れたセットにして、神保町の東京堂書店と、池袋の三省堂書店に置きました。委託店詳細はこちら。ブックシューは竹と楮を混ぜて漉かれた手すき紙で、アクリル絵の具で「水玉と縞」を染め、和紙がけば立たないようにCMCを塗り、小さなしずくのような箔押しを施してあります。作品データや印刷動画はこちら
豆本展示
豆本展示
豆本
豆本
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