MBS Award Winner Miyako Akai's Miniature Books
repair_of_books <<本の修理と保存 目次

今年もプチパリ蔵書のメンテナンスをボランティアと

2020年2月9日(日)、19世紀革表紙本の修理と保存を行いました。
「オープンな書斎」Le Petit Parisien オーナーさんの蔵書です。
4年目に当たる今回は、表紙が完全に取れてしまった、バラバラな本たちを直しました。
タイトバックのくるみ製本は、構造的に、同じ壊れ方をします。
できるだけ原本の姿を残したまま、手に取って読める本にしておきたい、というオーナーさんの希望で、元の形をできるだけ保存した姿で、表紙と本体の接続をし、今後は100~120度くらいしか本を開けずに読書できる「リーブルシュポール」を用いて、読書をしてもらいます。

今回集まった参加者の方は、全部で6人+赤井+オーナー
同じ壊れ方をした同じシリーズの本4冊が修理のメイン。
分業で、「クリーニング&オイルお手入れ職人」「色染め&カット職人」「クータ職人」「和紙貼り職人」になってもらい、得意分野が活かされて、いろいろありつつも、思った以上に驚くほど作業が進みました。

作業工程
1 マイクロファイバーのクロスを用いて、クリーニング。酸性物質である埃を除去。
2 パサパサに粉がつく革には、HPC(ヒドロキシ・プロピル・セルロース)を塗布して、革の強度を増す。
3 クータが入れられるほど壊れた形になった本(2冊)には、クータを入れた。
4 取れた表紙と、見返しの間を、内側から楮和紙(紙舗直のRK)をつないだ。接着剤はJadeR(可逆的ノリ)。
5 表紙の外側から、革の色に近くアクリル色染めした楮和紙でつないだ。
6 最後にSC6000を塗布。革の表面にアクリルポリマーのコーティング層を作り、今以上に革が痛むことを軽減する。

13時~17時までの作業で、これだけの本が救われて、見違えるように美しい革の輝きを取り戻し、手に取って読める形になりました!

今年が、たぶんここでの一番重症な本たちを扱ったと思います。
来年は、たぶんもう少し楽に、これまでの振り返りやまとめをして、終われるんじゃないかな? 書籍の修理と保存革が乾燥してパサパサした本をべっぴんさんクロスで優しく拭く
書籍の修理と保存少しずつ丁寧に保革油を塗る
書籍の修理と保存HPCを準備
書籍の修理と保存革にHPC塗布
書籍の修理と保存現物合わせでクータを作る
書籍の修理と保存壊れた背表紙の内側へクータを入れる
書籍の修理と保存取れた表紙の内側を和紙で補強する
書籍の修理と保存外側に貼る和紙をアクリル絵の具で革色に染める
書籍の修理と保存取れた表紙を和紙でつないだ。天も補強した。
書籍の修理と保存クリーニングと修理の後、保革油を塗ったら本がツヤツヤ輝き始めて感動した。   >>前回2019年には、このようなメンテ作業をしました

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