MBS Award Winner Miyako Akai's Miniature Books
list list

『籠込鳥』(初版)soldout

Caged (first edition)
The height of the cage is 3 1/2 inches, text by Miyako Akai, laser-printed, the first edition of am5-2, 2004, 30 copies limited.

文:赤井都
2004 言壺 限定30部
H90×W85×D90mmの籠入 本H35×W40×D5mm, 48pp., 36g
一穴リボン綴じ レーザープリント、ラバースタンプ 700円


掌サイズの小さな籠に入った豆本です。

あなたはこの話を籠から救い出すことができますか。

籠は丸と四角とあります。中身は同じです。白のオーガンジーリボンで綴じてあります。

片方のリボンをほどくと取り出しやすいです。籠の底のピンを取ると、底を抜くこともできます。

48ページの三文字メタテクストファンタジーの新作です。エスプレッソのように濃くて短い4000字からなるストーリー。

『 昼明熱に浮かされ漂う夢の中で、私は昔のとおりの私である。背に大きな翅を広げ、山と空の境に流れる梢際風をどこまでも滑っていく。背で光含翅はここちよくしなり、頬に当たる風が砕けたかけらとなって、ひやひやと肩にこぼれてゆく。』・・・

籠込鳥を通販でご注文されると、上のようなパッケージでお送りしています(予告なく変更になることがあります)。送料は240円です。同送料内で、壜入り『読求詞』『ミニ掛け軸』を数本封入することができます(あと約40g可能)。


作品履歴

2004.10-/ 限定30部制作。アートバードブックスで初売り。
2004.11.09/ 通販開始と同時に幾つもお送りしています。神田の豆本専門店に持ち込んでみたいともふと思いました。
2004.11.14/ 第3回文学フリマで販売。中の豆本が飾りではなく読めるということを知って驚かれるかた、飾る場所がないのを悔しがるかたも。
2005.3/かげろう文庫で、編集者のかたに買われたようです。残りあと、丸3つ角4つぐらいです。材料が入手できないので同じ形での再販はありません。
2006.1.29/ まめまつり出品。完売しました。ありがとうございます。


『籠込鳥』に寄せられたご感想の一部です

黒木さんより 籠という開かれた密室
 籠という容れ物はとても残酷なものだと思うことがあります。外の様子は見える、外の風は入ってくる、外の物音は聞こえる、柵のすきまから手をのべれば、外にあるものに届くような気さえする。外との境界は限りなくあいまいで、それでもぜったいに外に出ることはあたわない。
 籠込鳥というタイトルのついたこの作品ですが、籠にとじ込められているのは鳥ではなく一冊の本です。その本を綴じているオーガンジーのリボンは、そのまま左右に伸びて籠にしっかりと結びつけられており、たとえ籠の扉を押しあけても鳥は――本は、外に出ることができません。オーガンジーのリボンは銀色にきらきらと光り、まるでこのうえなくやわらかく残酷な鎖のように本を縛めているのです。

 「あなたはこの話を籠から救い出すことができますか。」

 籠には扉もあり、底をはずすペグもあり、そしてオーガンジーのリボンもかんたんに解くことができます。けれど、「あなたはこの話を籠から取り出すことができますか。」でもなく、「解き放つことができますか。」でもない、「救い出すことができますか。」と問われたとき、私達は沈黙せざるをえません。リボンを解きペグをはずし、そうして物語を読んだときに、籠から本を出したことが鳥を、この鳥の物語を「救い出」していないことに、すぐに気づかされて私たちは途方にくれるのです。
 呪のたぐいは術をかけたものにしか解けないと言われます。催眠術や洗脳も、第三者が無理に「救おう」とすることがときに「救い手」側の傲慢でしかなく、事態をより悲惨な結果に導くことさえあることを、私たちは本を読んではじめて思いだし、そしてそれに気づいたときにはすでに手後れなのです。  読んでしまったことで籠が籠であること、この物語が籠にとじ込められていたことの意味を考えずにいられない、そうして二度三度と読み返さずにいられない、これは、そんな罪つくりな本なのです。
(2005/9/言壺便り7月10日号から再録)

タカスギシンタロさんより
 作品を籠に入れたり瓶に入れたりするのは、それだけでも面白い行為なのですが、赤井作の場合、その“もの”が読者にとって特別な存在になるように仕組まれていて、まさに「籠でなければ成り立たない」ストーリーになっていると思います。すばらしい。
 エンデの「はてしない物語」も“いま手にとっている本そのもの”に対して愛着がわく作品でしたが、「籠込鳥」も読後には自らの思い出の一部として、とくべつの“もの”になっていくのだと思います。我が家では籠の入り口を開けて飾ってあります。
(2004/11/30)

りりこさんより
とても素敵な箱が届いて、嬉しかったので(ので?)
箱を抱えたまま買い物に行きましたー。
籠はほんとに思っていたとおりで、透明なリボンもブルーの本もよかった。
ちゃんと出せました。
(2004/11/22)



<<作品一覧

back

home