Sep 23, 2011
「マザーグースのお話」の修理
書籍の修理と保存、前回は、年末に「子供日記」の修理が完成したところまででした。今年に入ってからは、「マザーグース」の修理をしました。受講6回分くらいで完成に至るまでを一気にお見せします。

この本、実は表紙と中身が取れてしまっていて、見返しも半分しかありません。(見返しの「遊び」の方が失われてしまっています。)

見返しは、前後で同じ模様だったと思われるので、表紙を開いた状態で、カラーコピーを取っておき、素材とします。

針金綴じだったので、針金を抜き、麻糸でリンクステッチして綴じ直しました。表紙の背は、破れかけた古い布を取り、新しいクロスをつけました。

綴じ直した本の背は、寒冷紗とクータで丈夫にしてあります。これを、新しい背表紙の内側にボンドでつけました。

背に貼った新しい布は、上から見ればこんなかんじに、古い素材の下をくぐらせて貼りつけてあります。元の表紙ボールは、三枚はぎになっています。「特殊なビゾーテ」の技です。

表紙の内側ののどの、切開した部分をくっつける前に、やることがあります。本の補強のためにつけた寒冷紗のひらひらを、この部分に潜りこませます。

スパチュラや、手で…

持ち上げたことで古い素材がめりっといかないように、気をつけて…

この時の基本姿勢。本の背中に負担がかからないように机のへりに本をひっかけて、体で支え、両手で作業します。

寒冷紗が、ボンドで内側に無事ついたところ。次いで切開部をボンドでくっつけます。

溝の隙間には、寒冷紗が見えています。似た色の和紙を選んで、帯状に上から貼ります。

それから、作業の一番最初にコピーしておいた見返しを、つけます。

破れ部分までコピーされているので、一見、まだ壊れかけているようですが、これでしっかりと見返しはくっつきます。

表紙の角は、このままでは弱いので、ヨレヨレしたボール紙の間に正麩糊をスパチュラで入れます。

その上から、角を、似た色の和紙でくるみます。内側の端は見返しの端を持ちあげて潜りこませます。写真左の角が修理後、右の角が修理前です。

四つの角を、こうして補強しました。

取っておいた、古い背タイトルを貼って、修理完成です! 安心して読める本になりました。
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