2011年9月23日

本の修理

 本の修理を習っています。自分の本では自分の描いた設計図の中を歩くけれど、他の人が作った本は、他の人が作った国の中を探検するみたいでおもしろいです。それが特に、昔の人だったりすると。
 当面、「子供日記」を修理しています。大正9年に、祖父が10歳で書いたもので豆本『MAHO NIKKI』の原作です。
書籍の修理と保存・実技
 これは、背が完全に崩壊してしまっているんです。このままだと読むことができない。ページもどんどん取れてきそうです。
書籍の修理と保存・実技
 この本は、折丁をホッチキスで平とじにして製本されたものです。腐食していたホッチキスを抜き取り、穴を和紙で補修しました。
書籍の修理と保存・実技
 縁がぼろっとなった別丁ページにも和紙を貼って、
書籍の修理と保存・実技
 ページサイズに切りそろえました。
書籍の修理と保存・実技
 内側の穴修理はひたすら、ほぼ全ページに及びました。中のほうは祖父の手で文や絵が書いてあるページになります。
書籍の修理と保存・実技
 全部修理ができたところで、きっちりとプレスに挟み、目打ちで穴を開けました。
書籍の修理と保存・実技
 小さな三つ目とじを、天地二箇所にして平とじにしました。修理したホッチキス穴の位置を利用しました。(あれ、別丁も一緒に糸で綴じるはずが、写真を見るとどうもそうなっていない。後で確認しないと…)
書籍の修理と保存・実技
 とまあ、写真は地味ですが、本の内側は驚きの連続で「うわーここがこうなってる!」と見つけるのが楽しいです。
書籍の修理と保存・実技

 で、そんな合間に、より実用に迫られた修理もちまっとしています。こんなショッキング映像を見せるとイメージ悪くなりそうですが、自分の本が壊れました。本気で使ったらこうなりました。
書籍の修理と保存・実技
 打ち合わせの際に、全く同じように一折目の内側からページがはずれた本を目撃しています。こんな状態でした。最初のほうのロットで、どうやら糊が甘い本があったとにらんでいます。(入稿が遅れて、製本を急がせたような?)糊ががっちりつきすぎたあじろとじは、開きがものすごく悪いので、糊が少ないほうが私は好みですが、外れちゃったのはなぜでしょう。
書籍の修理と保存・実技
 「無線とじの修理」にトライ。古い文庫本だと、古い糊を取り去って新しい糊をつけますが、これは新刊なので糊もまだ新しく、使えるだろうと、今、本の背にある糊を熱で溶かして、再度くっつける方向で臨みました。下敷きなどを入れて、外れたページをしっかりと奥へ押し込みます。
書籍の修理と保存・実技
 その後、下敷きは外したほうがいいみたいです。下敷きの跡がつくと悲惨です(実感)。この本は、直接アイロンをしばらく当てても平気でしたが、もっとやっていて印刷が溶けちゃったりするのも悲惨です。そうなる前に、当て紙をするようにという指示でレスキューされました。
書籍の修理と保存・実技
 アイロンは、ごしごしやるんじゃなくて、じわっとしばらく当てて、目で見て糊が溶けるのを確認します。「ついたかなー」と本を開いて見てみたいけど、むろん、そんなことをしたら全崩壊するので、完全に冷えるまで閉じたまま置きます。
書籍の修理と保存・実技
 先生が手を貸してくれて、完全に糊を溶かして、また冷やしましたが、ところが! ページの外れたところはなんとかくっついたものの、180度ぐっと開いたら、また取れてきてしまいそう。本の地小口をよくよく見ると、外れてくる問題のページは、他のページより長さが短いです。長さがたりてなくて浮いてくるので、どうがんばっても糊に届かない。これだけ1mmも短く裁断されて製本されちゃったのです。(黒い点として隙間が見えています。)つまり、初期不良。本の使い方うんぬんではないです。天小口では一応長さは揃っているので、一折目の背は斜めになっていると考えられます。
書籍の修理と保存・実技
 これは、出版社が責任を持って交換してくれます。もし、こんな本をお持ちの方は、奥付の住所を見て、出版社へお送り下さい。
 修理コースに来る方には図書館にお勤めの方もいて、もっと大変な初期不良(そもそもホットメルトが溶けていなくって背が外れて剥き出し)を目撃されたこともあるということで、悲惨比べをしてもしょうがないんですが、機械製本とはいえ、製本機械を人間が動かしていることを感じる一瞬でした。
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