Sep 23, 2011

初めての場所2箇所

 『海潮音』上製版タイトルを自分で何とかしようと画策。やはり、タイトルを表紙や帙につけないと、本の向きがわからない。かといってこれはと思うものが手近に見当たらなかった。ここは一つ新しい道具を入手して、新しい技術を習得しようと。
 水道橋、製本工房リーブルへ行った。後楽園ホールの方向へ、夏休みの親子連れたちにまじって地図を頼りに歩くと、大通りに面した、これまでも今も誰にでも見えているはずのビルがそこだった。
 『豆本をつくる』を取り出して掲載された道具を求めると、すぐに出してもらえた。同じ本が書棚で売られていて、著者も奥で製本教室指導中。くらっときた。道具の価格にちょっとどきどきしたけれど、高円寺での売り上げ精算分がまだお財布の中に入っていてよかった。こうして日本国貨幣は他の世界をめざすための資金となってゆく…。道具だけでなく、『豆本をつくる』に載っていたような豆本が、ディスカウントで売られていた。革装丸背も、布の継ぎ表紙も何もかも2千円代半ば。うわー。
 続いて、東銀座は中村活字店へ。
 ガラスの引き戸を開け、年季の入った木のカウンターの手前で、呼び鈴を押して待つ。カウンターの横に、世田谷活版再生展や青山ABCタイポグラフィ展で見たり入手したりした作品や記事などいろいろが貼ってある。活字を3本買うだけの個人客にもとても親切に応対してくださった。初めて入手した鉛活字、爪を立てて傷つけてしまわないかどきどき。歩いてものの2分で松屋の大通りに出たので、またくらっときた。
 活字初心者にありがちなことだが、コメモノ(クワタ)を求めるのを忘れた。翌日、炎天下、再訪。「コメモノを下さい」「クワタね。シブン(四分)? ニブン(二分)?」と聞かれてぽかんとし、またまた手取り足取り指南していただいてしまった。四分は四枚で活字一文字ぶん、二分は二枚で活字一枚分になる。インク。インク洗い。へら。いざ自分でやろうとするとやっとわかるいろいろな道具の存在。新しい本の恩人ができてしまった。家へ戻り、近くのホームセンターで、ノズルやらブラシやらも買った。 
 計画どおりうまくできるかなあ。秘密の実験をせねば… 。

 さて、通販を発送しました。『T-DOLL』はあと製本済のものが2冊、製本中のものが6冊でおしまいになります。最後の6冊には銀の飾り紐がつきます。これは今、本文を束ねたまでの未完の状態で、これから背固めをし、表紙をつけて作ってゆきます。
 好評をいただいている『クレナイヨモギと二人の夜』豆本キットは、ショッピングカートにはあと1つ、茶房高円寺書林には3つあります。これがなくなったら、次を作るまでにもう少しお待ちいただくことになります。手編みのスピンがいい、中身のお話が思いがけずよかった、などの感想を何人もの方々からいただいております。こちらは秋の世田谷と神保町のワークショップにかけても作っていく予定で、いったん品切れになってもまたそのうち入手可能になります。
Posted at 17:45 in go_out | WriteBacks () | Edit
Edit this entry...

wikieditish message: Ready to edit this entry.
















A quick preview will be rendered here when you click "Preview" button.