Oct 30, 2012
帳簿製本を習ってきました


これが材料です。

帳簿のプロの結び方も教えてもらいました。

先生はぐさぐさと縫って一気に糸を引き締めましたが、これは真似しようとしても無理だった。無理すると指が切れるそうです。洋本製本が日本に伝わったのは明治期。それまでは和綴じ本が作られていました。大福帳だった帳面が、明治になって洋本の帳簿になり、先生は帳簿製本の二代目です。今や帳簿はワープロになってしまいました。

帳簿製本の特徴(ルリユール工房などで作る洋本との違い)は幾つもありますが、何よりも毎日閉じ開きして書き込むための丈夫さ・開きのよさ・耐久性が求められる帳簿。違いの一つは「ばね」を入れること。支持体(「みちかわ」)についている部品がそれ。これは今見返し紙の上に仮止めしてありますが、本になった時、表紙ボール側にくっつきます。

背貼りは裏打ち寒冷紗ではなくクラフト紙。このサイズにも絶妙な計算がありそう。何度も繰り返し作られた製本様式は、先人の知恵の結晶だと思います。タワシでつけました。

みぞつけちゅう。みぞつけはかつては日々の業務でしたから、専用の機械があります。

見返し貼り前。「ばね」が表紙ボール側に移動しました。

見返し貼り用の糊。全て業務用の混合です。継表紙は全て「目見当」。むろん糊ひき紙はほとんど使いません。糊引き紙なしで見返し糊入れしてみて、ちゃんとできたので自信になりました。帳簿製本のプロの糊の薄さや糊の量も、改めて参考になりました。教室だと、つい、つかないと困ると濃いめに準備してしまうのはよくない。「皆さん使う糊が濃いし量も多すぎる」って思い当たる節があります。教室でたくさん糊を用意したつもりが、糊がたりませんとよく言われ、(しかも塗りながら!)そんなにいっぱいどこに糊消えたの! 紙に入ったの! どんなに紙厚くなったか? しっかりケント紙挟まないと湿度が~という経験などのせいで、自分が鈍くなっていました。反省。糊は薄くてよくて、ちょっとでよい。

できあがり。今回は本来の帳簿よりも小さいサイズで作っています。寸法出しなど準備が大変だったと思われます。おかげさまできれいに仕上がりました。

帳簿はチリを多めに出します。

さっそく開いてみる。花布が自由自在に動く。

耳は出していないので、ノドが完全に開きます。

以前に製本された手帳も見せていただきました。小口マーブルが美しい。

見返しのマーブルとのつながり感がすばらしい。

中は罫線。罫線も工房内で引いたそうです。罫線の引き方の話も伺いました。

もう一冊、小口マーブルの本。

見返しも糸でかがってあります。(見返し紙は貼る前の状態。)見返しを一折として一緒にかがるのではなく、本文をかがり終わってから、前後にかがりつけるそう。綴じ穴の位置も本文とは別です。有意義な一日でした。
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