Jun 21, 2013

活版印刷の大変さをバーベキューにたとえてみる

「活版印刷って、そんなに大変なの? 機械がやってくれるんでしょ」と言われてしまったあ。「鍬を持ってるんだから、畑なんて楽勝でしょ」と言われた級の衝撃だった。まだまだ、私の説明がたりないなと感じました。テキンは機械というより道具なんです。
ボタンを押せば、勝手にごはんを炊いてくれる炊飯器みたいなのが、パソコン接続のプリンター。一方、テキンは、薪から火をつけて米を炊こうとしてるみたいなもの。アウトドアの達人なら、薪だろうが5分で火をおこすけど、たまに野外に出る私みたいなのは、セットアップに30分、ごはんを炊ける火に調整するのにまた30分、あげくにできたごはんは底がこげていて、でもおこげは、電気釜ではできないから! 私だけの味がある! と言っているみたいなもの。
プロの活版印刷は、ホテルの庭先のグリルサービスみたいなもの。使う道具も、ステーキ肉の厚さも、炭も、そのプロの好みに最適に整えられていて、オーダーするとあっというまに、おいしく焼いてくれる。それを見てとっても簡単、と思うけれど、プロだから。ウチは墨の名刺印刷だけ、と決めているような活版印刷所は、自分が最適に焼けるステーキ肉の厚みや炭の産地を知っているコックさんみたいなもの。プロの腕を最大限に引き出す、ウチのおすすめの紙ってのも、もちろんある。どの紙でも、どんな版面でもよしこいで刷ってくれるような印刷所は、私の知る限り三木さんくらいかな。
私のような素人活版印刷は、たまに屋外で自分でやるバーベキューみたいなもの。肉はこげるわ、たまねぎは生だわ。それでも食べられる物にしようと一生懸命。プロに頼んだほうがなんぼかましかと、やりながら思う。でも、正確さや精密さよりも、自分の手から、何かアートが出てくるんじゃないかっていう期待感で、あえて自分でやっている。自分でやれば、刷ったものを見てどんどん微調整で、感覚で変えていけるから。つまり、刷りながらのデザイン変更をして、テキンと私との、一回限りのライブで、その時のインキ量や圧の調整で、作品ができていく。
伊東屋で売ってるような、レタープレスキットは、たとえれば、食事のテーブルに固形燃料を置いてポコポコ勝手に作ってくれる焼き物みたいなもの。絶対失敗なく、火をつけるだけで、ちんまりと出来上がります。

そうそう、交差式製本については、素敵なサイトを教えてもらいました。交差式製本を考案したイタリア人のCarmenchoのサイトhttp://www.outofbinding.com/。彼と二人展したSun Evarardのサイトhttp://sun.evrard.pagesperso-orange.fr/。ちなみにcross structure bindingを交差式製本と翻訳したのは 岡本幸治先生だった!

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