Nov 11, 2014
アリス普及版第二刷製本できました


真っ赤な革表紙のミニチュアブック『不思議の国のアリス』、普及版第二刷が製本できました。この豆本は、去年からずーっと作っています。そもそもは『楽しい豆本の作りかた』に掲載する用に作り始めた豆本でした。ところが組版のあまりの大変さに、ちらっと掲載されるだけでは惜しいので、言壺の作品としてちゃんと売ることにしました。そうして作って、買っていただいて、その中で、「ナンセンス詩が全部カットされている版では、キャロルらしさがたりないのでは」(しかし詩を入れると本が分厚くなってしまう)「タイトルラベルが紙ではないほうが良いのでは」(しかし革に箔押しタイトルだとそう多くは作れない)など、考えるといろいろもんもんしました。そこで、タイトル革でキャロルの詩を含んだ特装版を、自分の中でのコンプリート版として、作らなくてはという思いに駆られました。自分はそれだけの技術を持っているから、その本を作らなくてはと。
総革装本の製本ということ自体、普及版を作り始めた当初は、私の技術いっぱいだったので、制作しては、「ルリユール工房」や「手で作る本の教室」に持っていって、洋本に目の肥えた方々に見てもらって、少しずつ改善点も見つけました。ほとんどの意見は、これだけできたらいいだろう、だったので、やすりかけの角度などものすごくマニアックな改善と、より作業が楽に速くできる豆本独自の方法に気づいたといったところです。それらは全て、手を動かして、わかったこと。最初からは、できませんでした。
そして、満を期して特装版を作ったのですが、これの組版がまた大変でした。完成してようやく、作り手として満足を得たかと思いきや、厚みによって微妙なバランスが変わっていました。開きが悪く感じられること。文字が相当詰まっていること。しかし豪華な存在感は文句なし。どうせならここまでしなくちゃもったいないとも思う力作で、ついに到達した素晴らしい豆本。ミニチュアブックソサエティのカタログに掲載されたら、問い合わせが殺到(とはいえ、小さな世界なので、全世界から数件)。とはいえ、これで遊べるかというと軽やかな豆本のほうが好みかはもう、全く人の好みの問題。普及版の倍の値段がして高価で最高の物か、ささやかにかわいいほうが欲しいのか、それも全く人の好み。
それで、特装版と普及版を再びもんもんと眺めるうちに、どっちもいい、全く別物で両方良い、という結論に自分として達しました。また、自分のオリジナル作品もいいけれど、自分の技術を用いてこんなに人に喜んでもらえる古典的な本が作れるようになったのだから、求められるものを作ろう、とも思いました。好きなものを好きなように作る職人気質は、自分の技術をもっと試してみることも楽しむので。一年くらい品切れになっていた普及版を作ることにして、仕上がりました! 神楽坂「えすぱすミラボオ」に今日これから搬入で、持って行きます。通販でも対応します。一方特装版は、通販の一冊はスペインへ行ったので、在庫残りは東京堂にある一冊のみとなります。>>作品ページ



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