2014年5月15日

書肆ユリイカ版の稲垣足穂全集はしゃれた装丁

本の教室
さて、アリス特装版豆本は、東京堂書店に並んだほか、言壺通販ショッピングカートにも入りました。タコシェには、壜入り極小豆本「赤い鳥」シリーズなどを納品しましたので、お近くにおいでの際にはぜひお立ち寄り下さい。そして先週土曜は自宅教室でした。休憩時間には、アメリカンチェリーのパウンドケーキに、アイスクリームと自家栽培のミントを添えて。

ところで、文学フリマで入手した本を読み切らないうちに、ネット通販で古本を買いました。書肆ユリイカ版の「稲垣足穂全集5」を私は持っていて、5月になるたび、『彼等』と『兎』を読みたくなる。とても不思議な後口の、かつて近くの時空にいてすれ違っていった人たちへの、回想の物語なんです。書肆ユリイカ版だと、文章の内容がすーっと沁みてくる、魔法の組版がなされています。全集の1や13も書肆ユリイカ版で読みたくなりました。以下は、本の保存について。
本の保存
通販購入なので、本を見るのはこれが初めて。まずは状態を確認します。ケースから本を引き出すと、グラシンが焼けていますね。
本の保存
グラシンが変色していて、本は大丈夫な状態でした。このままこのグラシンをかけていると、グラシンからしみが本に移ってしまいそう。グラシンの中には酸性が強いものもあると聞きます。このグラシンは、外すことにします。「これがもし、本が作られた時からのグラシンで、本の一部かも」と思ったら、グラシンは本とは別の場所で気が済むまで保管すればよいでしょう。本は、保管場所としては、できるだけ地面から、かつ家の天井や壁から、離れた所で保管するのが理想的ではあります。
本の保存
小口など埃がつきやすい場所をクリーニングします。マイクロファイバーの「べっぴんさん」が最良です(私が持っているのはそれではないですが)。本の内側に埃が入り込まないよう、しっかりと締めて(脇に抱えてもよい)、乾いたクロスで小口を拭き取ります。こうするのは、「埃」ってものが紙の酸化をもたらす物質だから。汚れのついていない、きれいな状態にします。
本の保存
本の中は、汚れはそうありませんでした。もしも新聞紙など、酸性の紙が栞として挟み込まれていたりしたら、その跡がしっかりついてしまったりするので、抜き取ります。中身を見ると印刷がちょっとへたっぴいな部分もありました。インキが裏にまで抜けてる。というか紙の選択の失敗? 一折だけ別の紙になっている本もある! 奥付をちら見すると、印刷所は巻によって変わっていたりします。出版の苦労がちょっと見えるようでしたが、中身に入っていくのは後にして、まずは自分が安心して触れる状態にします。
本の保存
「自分の利用のため」という目的に沿って、常に方針を立てます。私はこの本を茶の間で読みたいので、私が安心して読める状態にします。自分が触れることで本を汚さないという安心が私は欲しいので、「ニュートラルグラシン」という、紙の保存に適したグラシンを本とケースにかけることにしました。ちょっとお高いグラシンですが、個人で使用する分量ならたった数百円です。以前一冊だけ買った「5」は、大阪の老舗店からで、送付された時点で美本に見事にグラシンがかけられていました(在庫があったらまたここから買いたいものだった)。これを真似て、グラシンがけしました。グラシンの厚み分、ケースの中身が増えますが、ケースが崩壊の気配もなくちゃんと収まっていることは「5」の数年の観察で確認済み。グラシンを私のような素人がかけていると半日仕事でした。作業しながら、古い本を今のように清潔の観念が進んだ時代に売るのは難しいだろうなと思ってしまった。でも古本を読まないと、知の世界のほんの一部しか触れられないからね。

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