2011年9月23日

もしもあなたが逮捕されたら…

 もし、ある日、二人組の地味な服装の男たちがあなたの部屋のドアをノックして、逮捕されたら? 全く身に覚えがないことなので、すぐに誤解は解けるだろうと思って警察留置所に入り、取り調べを受けることになるだろう。ところがその取り調べ、朝から夜11時まで続く。トイレに行く時も腰紐をつけられ戸口まで人がついてくる。寝に帰っても部屋はがらんとして物がほとんどなく、時計も、外界の出来事を知るラジオやテレビも一切ない。家族に電話もできない。会えるのは、アクリル板ごしにやってくる弁護人という名の赤の他人のみ。小さな孔ごしにリュウチジョとかコウチジョとかジハクチョウショとかヒニンチョウショとか言われても初めて聞く脳には区別が難しいけれど重要ぽい。一方で取り調べ室での、情緒五感に訴える言葉攻め。突然訪れたそんな日々に当然、お気に入りの低反発枕もビタミンCサプリ、PCはおろか美白洗顔フォームもぬいぐるみもダンベルもなし。それが250日も続いたら…
 宇宙船にいきなり乗せられるとか、心理学の実験室に入るとか、新興宗教のマインドコントロールとかを思い浮かべるような体験。やっていないのにやっていると言ってしまったら、まるでカフカの「審判」、しかしナチス台頭下にいるユダヤ人でもないのに。PKディックの警察管理社会みたいだけれど、殺人を犯したアンドロイドでもなく、日本で暮らしている人間市民なのに。
 日本弁護士会館でのイベント「もしもあなたが逮捕されたら」では、取り調べを受けた人が、テレビ会議式と生で、お三方登場し、酷な体験が赤裸々に語られた。アムネスティからもパネリストが来て「『日本は、基本的人権が護られているんだから、大丈夫』というのがふつうの人たちの感覚でしょう」そのとおり。「日本の有罪率は99.9%です」えええ…それって高すぎ。
 カフカとかPKディックとか萩尾望都とか! となり町戦争とか! 遠いところを見ている場合ではなく、これこそ足元の社会派ホラーだと思いました。私の文体に合うかどうかは謎だけれど、あえてカフカ的ではない私の文体で…ぶつぶつ これが現実だというところが一番のホラーでしょう。これまで私は獄中日記は辛気臭い自己美化(すまぬ)と思って読んだことがない。「自白の心理学」という参考図書をさっそく教えていただいた。
 霞ヶ関の弁護士会館は、バブル時代にがんばって建てといたのが今になって良質ストックになって助かっているような建物。その中に講堂がある。そこを250人ぐらいの人が埋め尽くし、盛況だった。うち弁護士でない人は半分ぐらいだろうか? 若者が多かったのはそれ関連研究室の学生だろうか。「市民集会」という、こちらが気恥ずかしくなる名が冠せられていて、そのためか具体的な話が多く、話相互の組み立てもよく考えられていて、一話が三十分以内と短く区切られてもいて、飽きることなくわかりやすく聴けた。
 と、代用監獄問題はそうなのだが、そこでさらに「共謀罪」というものを知った。自民党圧勝を受けて、特別国会に通したら、早くて今月20日に成立! 共謀って何よ? それが罪? 「過去に二度廃案になった天下の悪法」だそうです。『二人以上で「……しようか」と相談しただけで、犯罪が成立します。例えば、新聞社が編集会議をやったら名誉毀損罪、労働組合が団交を決議したら監禁罪、マンション建設反対の住民が座り込みを企画したら威力業務妨害罪の可能性が出てきます。インターネット掲示板へのカキコも、「謀議」の明白な証拠になります。』えええー。まるで敵をはめるのに絶好の法案。自分には関係ないと思っていも、ある日もし、誰かと「……しよっかー」と話していたのが問題になって…。たとえば「対岸の彼女」なんてどうなるのかな。社長の彼女が投獄されて、かたや幼稚園のママ友達どうしでファミレスでお茶を飲むのがブラックな結果をまねき、とか想像。
 だから、「郵政民営化賛成」だけで自民党に票を投じてしまうのは素朴すぎますよ。小泉内閣存続というのは、靖国もアメリカポチも全部賛成したことになるんで! メディアが小泉チルドレンとかお笑いを流しているのに安心していたら、裏でこんな怖い動きが。メディアごと小泉劇場に持っていかれていますから。テレビは事実を知るためではなく、安心するために観るもの。
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