2016年10月28日

アートブック『孤独』の中の松葉

豆本
『孤独 Loneliness』の挿画のためのスケッチは、南会津で描いて来ました。目の前に物がないと描けないタイプなんです。山頭火の俳句集のタイトルは『草木塔』で、句は突き詰めれば「ママ、ママ」と言っているものもあり、当初は卒塔婆のような形を函に対してイメージしました。山頭火が歩いた野山は西南辺りなので、竹をモチーフにしようと思っていました。ところが、山道で松葉を見たとたんに、私はこれでいこう、と思ってしまいました。尖っていて、他の葉たちとは全く違う形をしている。でもありふれている。表紙には、松葉のリースを。王冠を。背表紙と前小口とが似た形状なので、表紙の左右どちらから開くかわかりにくいと思い、ホワイトゴールドの小さな丸を、熱したツールと定着液を使って刻印しました。函はぐっと和洋折衷な、しゃれた雰囲気で、自意識たっぷりでありながら率直て飾らなくもあり、鎧のようでもあるような形に。古い紙がちょうど散り紅葉と松葉の絵だったので、それを見返し紙にしました。綴じは隠さずに見える形に、麻の蝶のように、見返しのそばに現れます。
豆本
足元に散った松葉を見るうちに、松葉をモチーフにした日本の文様を思い出しました。子供の時の記憶もよみがえりました。松葉を互い違いに組み合わせた形で描いてみたり、松葉を30度ずつ回転させて組み合わせた形に描いてみたり、山道の風景そのままよりも、もっと様式化して描いてみました。なにしろ小さな画面なので、凝縮しないと、入りきらない。薄い雁皮紙に刷ったので、裏からも鏡文字が楽しめます。この本は、通販をしていて、実物は12月の中野の個展に出品の予定です。
豆本
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