2012年11月9日

壊れた本の修理

さて、本の修理です。本の「修理」と言うと、たいていの取材で「修復」と置き換えられてしまって校正を入れましたが、修理と修復の違い。私がやっているのは、本の利用のための修理で、文化財の修復ではありません。本が再び読めるようになるということが一番の目的です。なので、不可逆的な方法(ボンドなど、再度はがせない接着剤で、新しい部材を入れる)で修理します。でんぷんのりで、古い素材をつなぎあわせた場合、何度か閉じ開きしたらまた壊れてしまうでしょう。資料館での展示や、研究のためにいざとなったらまた新しい部材を取り去って元に戻せるということが必要とされるならそれでよいけれど、読む本の利用のためにはその修理では手間をかける意味がない。一般に、でんぷんのりにボンドを混ぜて貼った部材を元に戻せるようにするには、ボンドを混ぜてよいのは12%くらいまでのようです。背まわりの、本の蝶番部分は、ボンド1割ではすぐ壊れてしまいます。
私が行って習っている修理と保存のクラスには、専門図書館の方が多くいらっしゃいます。頻繁に使用されている本の、壊れてる本のパターンが、だいたいわかってきました。
本の修理とためによかれと思って貼られた粘着テープが、その後の本の崩壊に一役かいます。
私が今とりかかっている絵本も、同じパターンでした。
だいたい、見返しが切れる→そこに粘着テープを貼る→その部分だけが強くなってしまい、今度は一折目と二折目の境が切れる→そこにも粘着テープを貼る→また力のかかり方のバランスが崩れて、あちこちのページが取れてくる→取れたページを粘着テープでせっせとつける→背ボールが、粘着テープの厚みで膨らんだ中身を受け止められなくなってしまい、背ボールが外れる→背やミゾの崩壊
粘着テープで本を修理するのはやめましょう。和紙をでんぷんのりで貼りましょう。でんぷんのりは、乾くのに時間がかかる接着剤なので、貼ってすぐは「こんなに弱そうでいいのかな?」と不安になりますが、クッキングシートなどを貼りつき防止用に挟んで、一晩他の本の下にでも置いて、「押し乾かし」をしてみて下さい。驚くほどしっかりした姿で、軽いプレスの下から現れるでしょう。
本の修理の方法
「ちびくろさんぼ」はめでたく終わったので、今は「ひとまねこざる」を修理しています。ページの修理を終わって、かがっています。
本の修理の方法
この絵本も、見返しも、本文紙共紙なんですね。そのために、見返し&表紙も含めた「一枚」として、表紙がついたままかがっています。
本の修理の方法
折丁ごとに和紙で巻いてあります。茶色いのは粘着テープの糊による変色の跡。
本の修理の方法
背ボールも、この本の場合はまだくっついているので、ついたままかがっています。背と表紙との印刷の位置関係も保存するためです。
本の修理の方法
かがり終えましたー。リンクステッチです。背が和紙なので、糸を引きすぎると形が崩れてしまうので、難しかった。
本の修理の方法
本の表紙には、この後、背の部材を貼り込むための隙間があいた状態です。
本の修理の方法
こんなかんじにあいています。「帳簿製本」で、背のくるみが「初めてやるのじゃないみたい」と他の参加者たちからびっくりされて、「パッセカルトンと同じだから」と答えたけれど、実は本の修理と保存でも、いっしょでした。
本の修理の方法
まずは寒冷紗を入れます。
本の修理の方法
古本は、紙がよれよれで、四角くないから難しい。
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